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飯守泰次郎指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団 第209回定期演奏会

ワ-グナ-:「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式上演)

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関西には5つのフル・オ-ケストラがあり(大阪フィル、大阪センチュリ-響、関西フィル、大阪シンフォニカ-響、京都市響)、おのおのが競争し合い、切磋琢磨し合っているのだが、ここのところ関西の各オ-ケストラは意気込みが違うようだ。いずれもが意欲的なプログラムを組み、関西の聴衆はおろか、全国の音楽ファンに向かって「どうでっか!?」とわがオケをPRしているかのようだ。

今回のコンサ-トは関西フィルの定期演奏会。当団常任指揮者・飯守泰次郎の指揮によるワ-グナ-の楽劇「ワルキュ-レ」第1幕の演奏会形式による上演である。正直このプログラム、関西フィルにとってはいろんな面で大変だったに違いない。たしかに制作費が大幅にかかるだろうし、いつも以上にエキストラが必要であろう。練習時間も多くとる必要があるだろうし、演奏会形式の上演とはいえ字幕を付ける必要がある、などなど・・・。今回の上演を決断した関西フィルのスタッフのみなさんと楽団員のみなさん。たぶん「清水の舞台」から何度となく飛び降りたであろう西濱秀樹事務局長にまずは「ようやったで~」と言いたいのは私だけではなかったろう。聞くところによると来年は「トリスタンとイゾルデ」第2幕をやるという。いやはや西濱事務局長はまたもや「飛び降り」を続けねばならないのだろうと、気苦労を推察するところだ。とにかくワーグナーの上演は、飯守泰次郎の極めつきの十八番であり、彼はワーグナー・ファンから熱狂的な支持を獲得しているものであるから、東京だろうと大阪だろうとどこでそれを聴ける機会があるというのは好都合なのだ。かくいう私もそこに食指が動いたのは間違いないのだから。

 前半は来年にやる「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」が演奏された。若干遅めのテンポに始まって、トリスタンの心臓の鼓動のように徐々に盛り上がっていくものの、なんか物足りない。それは後半の「ワルキューレ」第1幕にも言える事だ。オーケストラのアンサンブルがともすればかなりガサガサしていて、こちらの盛り上がりをいささか阻害する。しかしながらなぜか不思議に雰囲気はたっぷりあって充分なのだ。飯守のワーグナーは、それほど音をぴったり合わせるタイプのものでなく、雰囲気さえ出ていればそれで充分、という指揮なのだろう。彼は往年の指揮者のような豪快に浪々と歌うタイプとも違うし、最近の緻密でどこか覚めたような客観視した音楽作りとも違う。そんな誠実で実直な音楽、良くも悪くもカペルマイスタ-的なところに人間味を感じさせ、どこか安心感がある音楽になるのではないか? そんな飯守の音楽作りに充分な雰囲気を感じるものの、オケに関してはもう少し緻密な演奏を心がけて欲しいと感じずに入られなかった。もっと言えば「熱く、燃えた」演奏をして欲しかった。それがないとこのような企画はただ頑張っただけで終わってしまって、オケ自身に何も残らないということになりかねない。劇的要素充分なこの曲を無難に演奏しては面白みがないのだから。

歌手についてはおおむね良といったところ。まずジークムント役の竹田昌弘。いささか線が細い気がしないでもないが、純粋な青年という役柄表現で成功しているようだ。次にジークリンデ役の畑田弘美。わたしの座った位置が悪かったのか、低音域を中心に声があまり届いてこなかったのが残念。そしてフンディング役は木川田澄。悪役独特の声の重厚さ、憎らしいほどの貫禄、押し出しの良さで、全体を引き締めていた。今夜の一番の収穫といっていいだろう。関西にもこういった実力派の歌手がいることを知った喜びは大きい。

いずれにしても来年の「トリスタン」が楽しみである。今度はどういったワ-グナ-を演じてくれるのだろう。そして関西フィルの通常のスタイル(2管編成)での演奏にも触れてみたいと思った一夜であった。

by gakuyuuehime | 2009-04-15 21:13 | 国内楽信

 

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