大阪シンフォニカ-交響楽団 第132回定期演奏会を聴
2009年 02月 18日

昨年の5月より2年にわたって全4回シリ-ズとして始められた、『ベートーヴェンと世紀末ウィーンの知られざる交響曲』シリーズの2回目を聴いた(2月13日 ザ・シンフォニ-ホ-ル)。管弦楽は大阪シンフォニカ-交響楽団。指揮は同団の正指揮者、寺岡清高で第132回定期演奏会としてのもの。今回はベートーヴェンの交響曲第4番と日本初演となるロベルト・フックスの交響曲第3番というプログラムだ。
前半のベ-ト-ヴェンは、正直言ってあまりピンとこなかった。先日までの入院中、クライバ-/バイエルン州立管の超名演を何度となく聴いたせいだろうか。あまりにもクライバ-の壮絶な演奏が耳を離れず、困ってしまったのはいうまでもない。しかしながら寺岡の演奏にもきらりと光るところがあった事はここに記す必要があるだろう。第1楽章冒頭の序奏部の繊細な音楽作り、第2楽章の表情豊かでしなやかなところなどがそれである。あえて言えばパ-トごとの受け渡しがややうまくいかないところやぎこちないところが残念であった(この曲のように流れを重視する作品ではちょっとした乱れが目立ってしまうのだが)。後半のフックスの交響曲に練習時間がとられたのだろうか?まぁ、クライバ-の爆演と比較するのは寺岡にとっても大阪シンフォニカ-にとっても酷なことだろう。
いよいよ後半のロベルト・フックス。彼はブラ-ムスに認められ、マ-ラ-やシベリウスらを弟子に持ち、ビゼ-、ドヴォルザ-ク、ヴェルディ、ヨハン・シュトラウスらとともに、当時の世の中に広く認められた作曲家ではあったが、今ではなぜかほとんど忘れ去られてしまった存在となってしまった。
今回演奏された第3番は1906年の作。マ-ラ-はちょうどこの時期に『千人の交響曲』を作曲しており、全体的にブラ-ムスの影響を色濃く反映していて、この時代のことを考えるとかなり古風と言える。第2楽章はいかにもブラームス風であり、斬新さや特異さは見受けられない。第4楽章でもあたかもブルックナ-かとも思われるようなフーガ風の展開や、オ-ケストレ-ションがいかにもシュ-マン的であったりと世紀末のウィ-ンに敢えてひとり背を向けるかのようだ。前回のハンス・ロットとは対峙する存在のようである。しかしながらそれは爛熟期のウィ-ンにおいてロベルト・フックスが先達たちの伝統を見事に熟しきった集大成のひとつだったのだろうと思う。ウィスキ-でいえばまさに「何も足さない、何も引かない」といったところだろうか。
当時の大批評家ハンスリックは彼を賞賛してやまなかったという。その考えの中には過度に刺激的でなく、高度な芸術的レヴェルに根ざし、熟考、熟慮を重ねた興奮を煽り立てるものとは無縁の音楽を見たからなのかもしれない。

寺岡と大阪シンフォニカ-はそんな芳醇な中にも程よく抑制を利かせた作品を良く練り上げており、その特徴をうまく発揮したといえる。寺岡のこの作品への一方ならぬ情熱と力量をハッキリと示した演奏であった。
今回のシリーズ、第1回は当時のウィ-ン音楽界の首領、ブラームスがが否定した作曲家で、今回は反対に認められた作曲家であった。果たして次回はどのような「評価を受けた」作曲家に出会えるであろうか?このシリ-ズの今後に目が離せない。
なお、大阪シンフォニカ-が近々愛媛公演を行う。テレビでもおなじみのブル-アイランドこと青島広志の指揮とお話で、クラシックの名曲を紐解く内容だという。関西音楽界で今元気なオ-ケストラを聴くいい機会となるであろう。ぜひ足を運んでいただきたい。
大阪シンフォニカ-交響楽団愛媛公演(指揮・ピアノ・おはなし:青島広志)
『青島広志のなるほどクラシック音楽』
土居公演
2月28日(土)18時開演 四国中央市土居文化会館ユ-ホ-ル
入場料:一般 3,000円 高校生以下 2,000円(当日各500円増)
問合せ:四国中央市土居文化会館 TEL(0896)28-6353
宇和島公演
3月 1日(日)15時開演 南予文化会館中ホ-ル
入場料:一般 3,000円 高校生以下 2,000円(当日各500円増)
問合せ:宇和島市教育委員会文化課 TEL(0895)24-1111(内線:2731)
by gakuyuuehime | 2009-02-18 20:58 | 国内楽信

