フルヴェン もうひとつのバイロイト『第九』
2008年 07月 17日

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
バイロイト祝祭管弦楽団/同合唱団(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、エリーザベト・ヘンゲン(A)
ハンス・ホップ(T)、オットー・エーデルマン(Bs)
録音:1951年7月29日 バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
音源提供:バイエルン放送 ADD;モノラル
「バイロイトの第九」新音源! バイエルン放送音源による高音質盤登場!
「レコード芸術」2007年9月号(P.70~74、P.211~214)で大きく取り上げられ、同じく「レコード芸術」10月号と11月号などでもとりあげられたバイエルン放送が録音し、同局倉庫に眠っていた「バイロイトの第九」は、先にフルトヴェングラー・センターから会員向け頒布という形でCD化されたが、同センターへの入会が入手の必須条件ということもあり、一般の方が入手することが難しかったのだが、今回ORFEOレーベルからのCD化が実現し、通常の形で市販されたことは喜ばしい。リマスタリングはクリストフ・シュティッケルがおこなっている。
第二次世界大戦後、6年を経てようやく再開されることとなったバイロイト音楽祭のオープニングを飾ったこの歴史的な演奏は、そのライヴ録音と記されたEMI盤によって、これまで半世紀以上に渡り、音楽好きの人々の間で広く鑑賞されてきたが、今回登場するバイエルン放送音源は、同じ日のライヴという記載条件ながら、なぜかそれとは異なる演奏なのである。おそらくどちらかがゲネプロ録音で、どちらかが本番録音ということなのだろうが、当時の演奏に関わった人の明確な証言が得られない以上、どのような意見も推測の域を出ないということなのだろうか?
ただはっきりしているのは、終楽章コーダのアンサンブルはEMI音源が崩壊しているのに対し、バイエルン放送音源では何とか持ちこたえていたり、第3楽章のヴァイオリンの出が違ったり、トランペットやトロンボーンのバランスが大きく異なるなど、演奏そのものの差異が認められる部分が多いにも関わらず、部分的には両者が完全に一致するところがあるということである。この事実は、どちらかが2種(あるいはそれ以上?)のテープを編集していると言うことであり、私はEMI盤がそうしたのであろうと考えているが、皆さんの考えはいかがであろうか?バイエルン放送のテープの箱には、「放送に使用することは禁止」という文言も記載されているらしいので、これは永遠のなぞとなってしまうのだろうか。このバイエルン放送音源による音源は、フルトヴェングラーに関心のある方はもちろん、音楽ファンなら一度は聴いておきたい大注目盤の登場といえるのではないかと思う。
(二宮)
by gakuyuuehime | 2008-07-17 21:16 | CD この1枚

