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シュナイト指揮/神奈川フィル 定期演奏会を聴いて

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第245回定期演奏会を聴く。指揮はここのところ独特の音楽観で根強い人気を集めているハンス・マルティン・シュナイト(同フィル音楽監督)である。曲目はブラームスの交響曲第3番とヒンデミットの交響曲「画家マティス」の2曲。(5月23日 横浜・みなとみらいホ-ル)
 まずはブラ-ムスの第3番。ブラ-ムスは冒頭から、一音一音をかなりゆったりと鳴らし、ゆっくりのテンポで抑制の効いた音楽。今にも止まってしまうのではないかと思えるほどの遅いテンポと、極度に抑制された音量。重厚さをベースにしながらも、ときおり牧歌的な響きを見せる。シュナイトの宗教観を連想させるかのような祈りに満ちた歌心あふれるものではあるが、聴き手によっては賛否の分かれるところであろう。しかしながらあえて私は言いたい、彼の音楽は他のいかなる冗舌な演奏にも増して説得力があり、美しい・・・・。
 ブラームスも素晴らしい演奏だったが、しかしこの日はまさにヒンデミット再評価の日だったと言って過言ではない。後半の交響曲「画家マティス」は15世紀の画家マティス・グリューネヴァルトの3つの祭壇画をモチーフに作られた曲で、比較的保守的なヒンデミットの作品。ちなみにこの作品が後の「ヒンデミット事件」の引き金となったのだ。
 場面がひとつひとつ目に浮かぶような歌心に満ちたこの演奏は、饒舌でロマンティックで美しい響きに満ちた音楽であり、こんなにも美しくそして気高く拡がりのある音楽だったろうかと思うほどだ。ブラームスが感情表現的だったのに対してこの曲は叙事的というか絵画的であり、さらに一言でいえば、シュナイトの“敬虔なる神への祈り”を感じる演奏となった。オーケストラの音も1曲目とはまるで違っていて、前半のブラームスより全体的に更に精度が上がったこのオーケストラは、集中度もどんどん高まっていって神々しさすら湧き上がっていくのを感じてくるほどだ。終局ではすべてが混乱し、終末を迎えようとすると思った時突然、天上の世界が広がる。最後の深い響きのコラール、とても神々しく、でも、どこか冷えた無常の雰囲気も感じさせるような、どこか不思議で、でも敬虔な空気だ。
 シュナイトはカ-ル・リヒタ-のあとミュンヘン・バッハ管弦楽団と合唱団を率いていただけあり、宗教的なアプロ-チをいずれの作品にも感じる。次回はぜひ彼の指揮する宗教作品や教会と密接なつながりを感じるブルックナ-作品を聴いてみたいものだ。
(二宮)

by gakuyuuehime | 2008-06-16 20:34 | 国内楽信

 

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