シーズン2007/08 第3回コンサート開催
2008年 01月 22日

菊池洋子(ピアノ)
今回のリサイタルは、武満 徹、モーツァルト、リゲティ、ヘンデル、ブラームスと新旧大作曲家の作品が入り混じった興味深いもので、演奏者の並々ならぬ意欲が伺えた。
1曲目は、武満 徹の「雨の樹 素描」。短い曲であるが、いきなり武満独特のユニークかつ、クリスタルな世界に引き 込まれる。2曲目は、彼女の得意とする「モーツァルト ピアノソナタ16番変ロ長調K570」。これまで聴いてきたそれとは、少しニュアンスが違う。第一楽章は、その違和感が気になっていたが、徐々に菊池洋子のモーツァルトの世界にひきずりこまれて行く。めりはりの効いた力強いモーツァルトだ。第3曲目は、リゲティ。曲目は、急遽変更された「ムジカリチェルカータの7」。奏者自身による、わかりやすい解説のあと演奏に入る。まさに解説どおりの曲。これも耳新しいサウンドで楽しませてくれた。第4曲目は、再度モーツァルト、「ピアノソナタ12番ヘ長調K332」。こちらも彼女のあたらしい表現によるもののようだが、力強いなかにも説得力のある美しい響きで、心地良い。前半最後となる第5曲目は、リゲティの「カプリッチョ1、インベンション、カプリッチョ2」。この現代の鬼才の魅力的なメロディを、切れの良いリズムに乗せて奏で気持ち良く前半を終了。
後半は、前半と打って変わってヘンデルの組曲でさりげなく開始。力みもなく、ピアノの響きも素晴らしい。古き佳き時代を彷彿とさせる典雅な演奏。間を挟むことなく、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ op.24」に移る。さすがにメインプログラムだけあって、堂々とした演奏。まず淡々とテーマが奏でられたあと、25曲の多彩な変奏が繰り広げられていく。そして最後のフーガは、さらにスケールの大きいピアノの響きに魅了され、終演。
アンコールも4曲。最後は、モーツァルトのトルコ行進曲の軽やかな素敵な演奏で幕を閉じた。
モーツァルト、ブラームスと並んでリゲティ、武満といった現代音楽作曲家の作品を演奏した今回のプログラム、賛否両論あると思われますが、日本を代表する若きピアニスト菊池洋子の意欲的な取り組みが成功を納めたと言って良いでしょう。これからも、リゲティ、武満に限らず現代作家の素晴らしい作品をどしどし紹介して欲しいものです。
新しいものを聴くことにより、古い(伝統ある)ものの魅力を再発見することもあります。新しいものを積極的に聴くことにより、音楽を聴く喜びが無限に広がっていくことは確かでしょう。
by gakuyuuehime | 2008-01-22 21:14 | 公演レポート

