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シュナイト/神奈川フィル 定期演奏会を聴く

今春、当会主催をはじめ愛媛県内4会場においてバッハの無伴奏チェロ組曲演奏会(第1番、第4番、第6番)を演奏してくださった山本裕康氏が在籍する神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第239回定期演奏会に足を運ぶ。(10月12日、横浜みなとみらいホール) しかしながら山本氏はこの公演は降り番で出演しないということで少し残念と思っていたところ、客席で偶然お会いすることが出来た。彼は降り晩の時でも自分のオ-ケストラを聴きに来るほど、音楽に真摯な態度でおられるのだと感服した。こういった熱心に音楽に向き合う奏者が増えると、もっと日本のオ-ケストラのレベルが上がると思うのだが・・・
さて、この日のプログラムは前半にシューベルトの交響曲第7番「未完成」、休憩後にR.シュトラウスの4つの最後の歌(ソプラノ:松田奈緒美)と交響詩「死と変容」といったプログラム。指揮は同楽団の音楽監督であるハンス=マルティン・シュナイトである。
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 1曲目の「未完成」は、かなり遅いテンポで音楽が朗々とゆっくり雄大に流れ、美しくも、あたたかく液体のように心の琴線にしみいる旋律は、あたかもシュナイトの祈りの響きのようである。彼は『死』というものとこの曲とを結ぼうとしていたのか?それとも『生』とを結ぼうとしていたのだろうか? 最後の一音が消えて、指揮棒もそして奏者の動きが止まってもまだその空間には明らかに音楽が存在し続けていた。それだけに少し早めの拍手は残念であったが、多くの聴衆はこの独特の『空気』を充分に感じられたであろう。再び鳴り始めた会場に渦を巻く万雷の拍手で1曲目から大きな感動が会場を包まれていた。
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 休憩後の「4つの最後の歌」はさらに凄かったと断言できる。シュトラウス晩年のこの傑作をこれまで何度も聴いてきたが、松田奈緒美はその第1声から聴衆を虜にしてしまったかのようだ。凛とした中に繊細で美しい歌に、絶妙にそれを支えるオ-ケストラの響き。特にヴァイオリン・ソロの石田泰尚のこの上ない美しい演奏。まさしく絶美の世界という表現がふさわしい。第4曲の「夕映えのなかで」では、この世のものとは思えない高貴な薫りの立ち昇るなかで、おぼろげに映し出される夕日の沈みゆく空に飛ぶ鳥の鳴き声のような美しい後奏にどんな形容の言葉が見つかるであろうか?言葉になんかならない、ただただあふれるものをこらえることができなかった。舞台の松田も感極まって嗚咽している。これだけの演奏を私は今まで聴いたことがない。今までのどれよりも感動的で素晴らしかった。
3曲目の「死と変容」は若書きの作品であるが、これまたゆったりとしたテンポによる堂々たる演奏。遅くなった分だけ普段は聴き取れない旋律が浮かび上がってくる。途中、あまりにも重々しいテンポに少しワ-グナ-的響き(?)になったりもしたが、シュトラウスの響きを忘れることなく、死と戦う葛藤と最後に訪れる浄化と救済のひとすじの光を感じさせるエンディングは、この上ない恍惚感を与えてくれた。シュナイト万感の想いのこもった音楽に堪能を通り越して、さも夢遊病者のようにさせられたかのようである。
(二宮)

by gakuyuuehime | 2007-10-23 21:38 | 国内楽信

 

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