「戦争レクエム」を聴く
2007年 09月 08日

ブリテンは、イギリス人で20世紀を代表する作曲家ですが、「戦争レクイエム」は彼の作品のなかでも最高傑作だと言われています。とにかく大規模な作品で、ピアノとオルガン含む3管編成のオーケストラと室内オーケストラ、混声四部合唱、少年合唱、ソプラノ・テナー・バリトンの独唱という巨大な編成で、演奏時間も80分を越す長大な曲です。
レクイエムは鎮魂ミサ曲とも訳され、通常はラテン語の典礼文がテクストとして用いられていますが、通常の教会音楽ではなく、この曲ではイギリスの詩人オーウェンの「詩集」が合間合間に挿入されており、ラテン語の「ミサ」はソプラノ独唱と合唱団とオーケストラが、英語のオーウェンの詩はテナーおよびバリトン独唱と室内オーケストラがそれぞれ受け持ち、「ミサ」の部分とオーウェンの部分は交互に独立して進行する形をとっています。この曲のスコア冒頭には、オーウェンの「私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。詩はその悲しみの中にある。詩人の為しうる全てとは、警告を与えることにある」という一節がを書き記されており、戦争を2度と繰り返さないためのブリテンの深い祈りが込められた作品だと思います。
独唱がソプラノの岡崎他加子さんとテノールのマーティン・ヒルさんとバリトンの井原秀人さん、オーケストラは、大阪フィルといずみシンフォニエッタ大阪(室内オケ)、合唱は大阪シンフォニッククヮイアとイギリスから招待したハダスフィールド合唱協会とトリニティ少年合唱団で、約300人ほどになると、広いフェスティバルホールの舞台の上が立錐の余地もないほどでした。テノールとバリトンといずみシンフォニエッタが舞台右側前方に位置し、その後方から舞台左側一杯に大阪フィルが展開し、オケの後ろで合唱団との間に岡崎さんが立つという配置で、少年合唱団はなんと2階の中間部左側で歌っていました。
指揮は湯浅卓雄さん、廉価版の「ナクソス」レーベルで現代曲を中心に多くのCDを出している指揮者ですが、この長大な曲を的確な表情付けでまとめていたと思います。劇的な場面ではやや淡泊かなとも思いましたが。テノールのマーティン・ヒルさんはイギリス録音の声楽曲CDでよく登場されていますが、やはり実力のある表現力のある声を聴かせてくれました。バリトンの井原秀人さんも大阪出身ですが実力のある歌い手でした。
さて、岡崎さんですが、オケの後ろの高いところからフルオーケストラを貫いて声が届いていたのはさすがです。一昨年、イシハラホールという小ホールで聴いた際、後半にエンジン全開となってホールをびびらせるほどの圧倒的な声を聴かせてくれ、驚いたことを思い出しました。楽友協会でも素晴らしい歌を聴かせてくれることと再認識しました。
(宮脇)
by gakuyuuehime | 2007-09-08 18:25 | 国内楽信

