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エルンスト・オッテンザマ- クラリネットリサイタル

楽友協会えひめ  シーズン2008/09  第2回公演
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エルンスト・オッテンザマ- クラリネットリサイタル

ピアノ : 林 澄子

2008年 9月17日(水)  19時     愛媛県県民文化会館サブホール












曲   目 
    サン=サ-ンス : クラリネットソナタ 変ホ長調 op.167
    ブラ-ムス    : クラリネットソナタ第2番 変ホ長調 op.120-2
 
     ********************  休  憩  ********************
 
    ウェ-バ-    : 歌劇「シルヴァ-ナ」の主題による協奏的変奏曲 op.33
   ロッシ-ニ    : 序奏、主題と変奏
ロッシ-ニ/ミュ-ラ-編 : 歌劇「セビリアの理髪師」よりアルマヴィ-ヴァのアリア
ヴェルディ/バッシ編 : 歌劇「リゴレット」の旋律による演奏会用幻想曲

エルンスト・オッテンザマ- クラリネットリサイタル 聴きどころ

今回の公演は非常に楽しみなものとなった.。
あの言わずと知れたウィ-ンフィルの首席クラリネット奏者、エルンスト・ オッテンザマ-のクラリネットリサイタルである。

 氏は1955年オーストリア生まれ。ウィーン国立音楽大学でペーター・シュミードルのもとクラリネットを学び、1979年同大学を卒業。1978年ウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーンフィルに入団、1983年より首席奏者をつとめているほか、1986年からウィーン国立音楽大学において教鞭も執っている。彼の音楽活動は多岐にわたり、室内楽アンサンブルの演奏活動も活発に行い、ウィーンフィルのメンバーによって構成されている「ウィーンブラスアンサンブル」「ウィーンヴィルトゥオーゼン」、「ウィ-ンゾリステントリオ」のメンバーでもある。
多くの著名な指揮者たち(フィリップ・アントルモン、シャンドール・ヴェーク、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、アンドレ・プレヴィン、サー・コリン・デイヴィス、ジョン・エリオット・ガーディナーなど)からも厚い信頼を得ており、文字通りウィ-ンフィルの大黒柱として木管セクションをまとめ上げている中心奏者である。 

 今回はウィ-ンフィルの来日公演時に唯一、楽友協会えひめのためだけに行われるスペシャルリサイタルである。この公演の実現のために奔走していただいた役員各位とご協力いただいたサントリ-ホ-ルに感謝いたしたい。

 さて、プログラムは前半がソナタもの、そして後半はオペラティックな作品となっている。    
まず1曲目はサン=サ-ンスのクラリネットソナタである。彼の生涯最後の年に作曲された、管楽器のための3つのソナタ(オ-ボエソナタ、クラリネットソナタ、ファゴットソナタ)である。冒頭ののどかな主題に急速なパッセ-ジの連続する軽妙洒脱な作品で4楽章からなっている。曲の最後にもう一度冒頭ののどかな主題が回想されるかのように再現されている、みごとな作品だ。2曲目はうって変わってブラ-ムスのクラリネットソナタ第2番である。この曲は最晩年1894年の夏に完成された、ブラームス最後の室内楽曲となった作品である。いわば『燃え尽き症候群』となっていたブラ-ムスの心に再び火をつけたのが、クラリネット奏者のミュールフェルトで、彼のために2曲のクラリネット作品(三重奏曲作品114、五重奏曲作品115)が作曲されたが、なおクラリネットに対する情熱が衰えず、その3年後にこのクラリネット・ソナタ2曲を流れるように完成させたものである。素朴な情緒の中に歌われるクラリネットとピアノが巧みに融合した親しみやすいもので、優雅で幸福 感に満ちた第1楽章、スケルツォ風で情熱的な第2楽章、ブラームス最後の変奏曲であり、精巧で均整のとれた美しさが 魅力の第3楽章からなっている。今回のパ-トナ-であるピアノの林 澄子とどのような音楽が展開されるかが興味深い ところである。特に作曲家の最晩年の2つのソナタ(サン=サ-ンスとブラ-ムス)の音楽的な対比(偶然にもこの2曲の調性は変ホ長調!)が注目の的であろう。

 後半は一転して華やかだ。まずは、ウェ-バ-の歌劇「シルヴァ-ナ」の主題による協奏的変奏曲である。現在では、オペラ全曲の上演は全くといってない「シルヴァ-ナ」をシンフォニックに聴かせてくれる。次はロッシ-ニの序奏、主題と変奏である。ロッシーニがまだ大活躍していた1809年ごろの作曲と推定されているこの曲は、ロッシーニらしいオペラのアリアのような序奏から、明るく華麗な旋律の魅力が充満した愉しい作品である。そしてもう1曲ロッシ-ニが続き、歌劇「セビリアの理髪師」よりアルマヴィ-ヴァのアリアが演奏される。歌心溢れるオッテンザマ-のクラリネットが紡ぎだす極上のロッシ-ニ・サウンドを堪能できる。最後はクラリネットの名曲でもある、ヴェルディの歌劇「リゴレット」の旋律による演奏会用幻想曲である。ヴェルディを飛躍させた「リゴレット」は、好色なマントヴァ公爵の庇護をいいことに横暴な振る舞いをしたために廷臣たちの恨みを買った道化役リゴレットの悲劇を描いた名作オペラ(当会主催のこの公演の直後に偶然にも松山で全曲舞台上演がある!)であり、その名旋律をイタリアオペラの殿堂、ミラノ・スカラ座の首席クラリネット奏者として19世紀末に活躍したルイジ・バッシが編曲した幻想曲がこの曲である。クラリネットの多彩な技巧を華麗に情感豊かに聴かせる曲であり、オッテンザマ-の華麗なテクニックとオペラティックな音楽を充分に堪能していただけるはずだ。
 
 とにかく、皆様の期待と注目を決して裏切らない素晴らしいステ-ジになること間違いなしの公演となるだろう。今からその日が待ち遠しい。


事務局よりのお知らせ
 世界的なクラリネット奏者である、エルンスト・オッテンザマ-さんのクラリネットコンサートは、ウィーンフィルの来日にあわせて、行われることになりましたが、松山における学友協会のコンサートが唯一の物です。
 会員以外の方でどうしてもこのコンサートを聴きたいと思われる方がおられると思いますので、特別に会員以外の方のためのチケットを発売することといたしました。

料金は
一般前売り券     6500円
一般当日券      7000円
中学、高校生     1000円

会員の方へ 前回の定期公演(松山冴花バイオリン・コンサート)に都合が悪くて参加出来なかった方は、今回の公演にそのチケットが使用できます。お友達とご一緒に、この素晴らしいコンサートにご参加下さい。

by gakuyuuehime | 2008-08-29 21:19 | 次回の公演の詳細  

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