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アレクセイ・トカレフ トランペットリサイタル

 楽友協会えひめシーズン2011/12 第3回公演
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 9月28日(水)19時より、いよてつ髙島屋ローズホールにおいて、アレクセイ・トカレフ トランペットリサイタルが開催された。
 アレクセイ・トカレフといえば、かのレニングラードフィル(現サンクトペテルブルグフィル)の首席奏者としても活躍した経歴を持つ名手。おのずと期待は膨らむ。ピアノ伴奏は、トカレフとは、長年の付き合いの佐藤勝重。こちらも、数々の入賞暦を誇る名手である。きょうは、そのソロも聴けるとあって、そちらの興味もそそる。
 まず1曲目は、バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」。この誰もが一度は、耳にしたことのある親しみやすく、やさしいメロディーをフリューゲルホーンによる柔らかな音色で奏でる。つづいてトランペットに持ち替え、クラーク「トランペット・ヴォランタリー」。トランペットらしい、晴れやかな音色を聴かせる。続いて佐藤勝重のピアノソロでドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」。クリアーな音色が新鮮で心地よい。グラズノフ「アルバム・ブラット」は、トカレフとしてはお手の物の作品だろう。見事にロシアの音楽を感じさせる。続いてふたたび佐藤勝重のピアノソロで、ラヴェル「道化師の朝の歌」。ドビュッシーとはまた違った魅力のあるラヴェルのこの曲を、明晰な表現で、よりモダンに再現する。徐々に盛り上がりを見せ、最後は、演奏者と聴衆が一体となった感じで終了。ピアノよりもオーケストラ曲で楽しむ機会が多いこの曲のあらたな(本来の?)魅力を感じさせた。
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このあとは、一転してエルガー「愛のあいさつ」をトランペットが甘美に奏でる。そして、ラフマニノフ「春の洪水」。構成のしっかりとしたこの曲を堂々と演奏し、前半を終了。
 後半は、チャイコフスキー「感傷的なワルツ」を美しく奏でて再開。あまり耳にしない作曲家ゲディケの「コンサート・エチュード」は、ダイナミックな佳曲。ロシアの作曲家による作品とあって、さすがの好演。続く佐藤勝重のピアノソロは、リスト「愛の夢」。ややもすると感情過多となる演奏が多いなか、楽曲を冷静に解釈していることをうかがわせる落ち着いた演奏は、好感が持てた。最後は、シャーホフ「スケルツィーノ」、シチェドリン「アルベニス風に」とロシアものが続き圧倒的な演奏のなか終了。大きな拍手の中、ふたたび登場。アンコールは、ロシアを代表する作曲家ショスタコーヴィッチ「ロマンス」。この美しく、ロマンティックなメロディーを、トランペットで朗々と奏で終演となった。(敬称略)

 フリューゲルホーンを含め、5つのトランペットを持参し、曲により使い分けたトカレフ氏からは、演奏途中、それぞれの楽器の説明も行われるなど、なごやかな雰囲気のなかリサイタルは進められました。

by gakuyuuehime | 2011-09-30 11:06 | 公演レポート  

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