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松田奈緒美ソプラノ・リサイタル

楽友協会えひめ シーズン2009/10 第3回公演
松田奈緒美ソプラノ・リサイタル開催

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 10月19日(月)19時より、いよてつ髙島屋ローズホールにおいて、今シーズン第3回目の公演となる松田奈緒美ソプラノ・リサイタルが開催されました。
 前回のアミーチ・クァルテットに続いて、新進気鋭のソプラノ公演は、今シーズン、楽友協会えひめが最も自信を持ってお送りするものでした。前半はR.シュトラウス、後半は普段あまり耳にする機会の少ないH.プフィッツナー、そしてシェーンベルク、ウェーベルンといった現代作家の曲目もプログラムに組み込まれ、きっとあらたな音楽の魅力を体感できるものと期待は大でした。
 1曲目R.シュトラウス「懐かしい面影」。安定した歌唱ではあるが、まだまだウォーミングアップの域は超えない。2曲目「夜」。まだまだ。そして3曲目4つの歌より「あした」。ここらあたりから、期待のソプラノがギヤチェンジしたようだ。これ以降の歌唱に大きな期待がかかる。そして前半の目玉「4つの最後の歌」。数々の名歌手によって歌われ、R.シュトラウスの歌曲のなかでも超有名なものだ。1曲目「春」、2曲目「九月」を割とさらりと歌い、3曲目「眠りにつくとき」で松田奈緒美の本領が発揮される。さすが若手一押しのソプラノ、声量も充分である。そして「夕映え」の絶唱。場内興奮のうちに第一部が終了した。
 そして問題(?)の第二部が開始される。ここでは、まだまだなじみの薄い現代作家-といっても没後半世紀を経過しているので的確な表現ではないかもしれませんが-プフィッツナー、シェーンベルク、ウェーベルンの作品を歌う。最初にプフィッツナーの歌曲から5曲、1曲目より落ち着いた歌唱でこの一連の佳曲を説得力を持って歌った。 シューマンのピアノ曲「子供の情景」より‘むきになって’を1曲挟み、シェーンベルクの「イエスの物乞い」を淡々と歌い、ウェーベルンの「フェルディナンド・アヴェナリウスの詩による3つの歌。一番期待された曲ではあったが、その期待を遥かに上回る感動のステージとなった。特に、2曲目の「祈り」における彼女の歌唱は、なにかが乗り移ったかのような、その全身全霊を傾けたその歌唱は、つくづく、音楽は頭で聴くものではない - 体で感じるもの - ことを知らしめた。最高の音楽体験となった。

by gakuyuuehime | 2010-01-08 21:06 | 公演レポート  

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